最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)441 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告理由第一点および第二点について。原審挙示の証拠によれば、被上告人は、
本件土地家屋の売買につき、Dが上告人の代理人であり、かつその代理権を有する
ものと信じた、という原審の認定は十分首肯できる。所論は、結局、原審の適法に
なした証拠の取捨、判断ないし事実認定を非難するに帰し、採用に由なきものであ
る。
同第三点および第四点について。原審の認定した事実関係によれば、被上告人に
おいて、本件土地家屋の売買につき、Dが上告人を代理すべき権限があるものと信
ずるについて正当の理由を有したことは明かであり、たとえ所論の如く本件売買に
当り、被上告人が、直接上告人に確めることなく、また上告人の承諾書、委任状、
権利証等の呈示を求めなかつたからといつて、未だ被上告人に過失があつたものと
解することはできない。その他論旨は、原審の認定に副わない事実を前提として原
判決を非難するが、すべて採用することを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
- 1 -